現在時制(3)
「未来」を表す現在時制
現在時制は「いつでも当てはまる」ようなことを表す、ということが基本でしたが、ときどき「未来」のことを表すような使われ方をする場合があります。「現在時制」なのに「未来」。「『現在時制』なのに『未来』?そんなのあり?」と疑問に思われた方、文法を理解するセンスは十分です。そうです。これはすこし変に思えます。現在なのに未来なんて・・・。しかし、じっくりと考えてみると現在時制が未来のことに用いられるということも納得がいくかも知れません。
決まっている未来の予定
未来のことを現在時制で表すことがあります。これは特に電車やバスなどの公共交通機関の発着について述べる時に用いられます。
Our train leaves Osaka in 20 minutes.
私達の列車は大阪を20分後に出ます。
20分後に列車が出発するというのは、確かに未来のことではありますが、公共交通機関ですから発着はすでに予定されており、時刻表に書かれているわけです。この発話をする人は、予定が既に決まっており、毎日繰り返されるその発着の時刻表を読んでいる(それが目の前の時刻表でも、あるいは心の中にあるものでも)、と捉えると、この用法も「過去も現在も未来もあてはまることを述べる」という現在形の基本の用法と重なるのではないでしょうか。
交通機関以外でも近い未来を表す場合に現在時制が用いられますが、使われる動詞に意味については、基本的に「予定」という概念が基本にあるので、乗り物のように「到着する」とか「発車する」とか、何かの行事が「始まる」とか「終わる」とか、「予定」にまつわるものが多いということが言えると思います。
When does the concert begin? コンサートはいつ始まるの?
などが例として挙げられます
時や条件を表す副詞節の中では未来のことも現在時制で表す
さて、現在時制の使い方の中でもかなり重要なポイントまでやってきました。「時や条件を表す副詞節」という表現についてはちょっと復習が必要です。このサイトの節(3)というページに飛んでください。そこには従属節の中の、「副詞節」というものについての説明があり、副詞節が、〔 時 〕、〔理 由〕、〔条 件〕、〔譲 歩〕、〔目 的〕などを表すと説明されています。「時や条件」というのはそのページで説明されている〔 時 〕と〔条 件〕のことです。
次ページで具体的な例文を見ていきましょう。