動名詞の意味上の主語
動名詞の意味上の主語
動名詞は動詞の働きも持つということから、その動詞が誰によってなされているのかということがその意味の中に常に含まれます。たとえはっきり明示されていなくてもそれがわかる、ということで文が文として成立しています。その、動名詞の行為を行う主語のことを「意味上の主語」といいます。「意味上の主語」は「文法上の主語」と区別して使われている言葉です。例えば、
Eating too much is not good.
(食べ過ぎは良くない。)
という文において、この文の主語は「食べること」という eating です。(広く解釈すれば「あまりにも多くを食べること」です)しかし、eatingは行為ですので、誰かがそれを行うということが想定されているはずです。その行為の主体を「意味上の主語」といいます。この文は、内容が誰にもあてはまるようなことなので意味上の主語は一般の人だと考えられます。「この eating という動名詞の意味上の主語は一般の人だ」という言い方をします。
意味上の主語はこの文のように特に明示されない場合と、あえて明示される場合とがあります。
意味上の主語が一般の人の場合
先の例文のように「一般の人」が意味上の主語の場合、明示されません。
Seeing is believing.
(百聞は一見にしかず。←「見ることは信じることである」)
意味上の主語が文の主語と一致する場合
あえて考える必要もないようなことですが、動名詞が動詞の目的語になっているような場合、その動名詞の意味上の主語は文の主語と一致しています。
I like eating tofu with mayonnaise on it.
(私はマヨネーズをかけた豆腐を食べることが好きなのです。)
この文の場合、eating の意味上の主語は文の主語の I ですね。当たり前のことのようですが、文の種類や形によっては時々混乱する場合があります。
意味上の主語が、直前に出る別の動詞の目的語と一致する場合
I need to thank you for telling me the truth about my body smell.
(私の体臭について私に真実を語ってくれたこと対し、君に感謝しなければなりません。)
この文では tell してくれたのは you なのですが、you と telling が距離が近いのでそのつながりがすぐにわかります。
telling の前に your を付けてもかまいません。
文の主語と動名詞の意味上の主語が異なる場合に、動名詞の意味上の主語を動名詞の前に置くということがなされることがあります。
動名詞が文の主語の場合
文の主語になっている動名詞に意味上の主語を付け加える時には「所有格」を用います。
His coming here so early surprised us all.
(彼がここにそんなに早く来たことは我々をみな驚かせた。)
Yuji's rejecting our plan was a great disappointment to us.
(ユウジが我々の計画を受け入れなかったことは我々を大いに落胆させた。)
動名詞が動詞や前置詞の目的語の場合
例えば以下のような文で、
She insisted on going there alone.
(彼女はそこへ一人で行くと言い張った。※insist on --ing 「--することを主張する、言い張る」)
という表現が使われていますが、on の後にはすぐ goingが来ています。こういう場合にはgoingの意味上の主語は文の主語の Sheと同じです。
しかし、going の意味上の主語を変えることができます。
その場合、意味上の主語に代名詞を使うなら「所有格」か「目的格」を用います。
She insisted on me going there alone.
(彼女は私がそこへ一人で行くべきだと言って譲らなかった。)
代名詞 me は所有格 my でもかまいません。くだけた表現では me の方が普通と言われています。
She insisted on my going there alone.
意味上の主語が代名詞ではなく普通の名詞の場合は、その名詞をそのまま使うということが普通です。人名であれば所有格も可能です。
I'm sorry for my dog shitting in your flower garden.
(私の犬があなたの花壇にウンチをしてすみません。)
I'm sorry for Taro('s) shitting in your flower garden.
(タローがあなたの花壇にウンチをしてすみません。)
※「タロー」は犬の名前です。